
そんなDLSSにまつわる話題なのですが、GeForceのドライバが更新に更新を重ね、「GeForce Experience」から「NVIDIA app」へと移行して随分経ちますね。 GeForce Experienceの方が好きだったという方もいらっしゃるかと思いますが、NVIDIA appになってから機能がいくつか追加されています。
そのうちのひとつが、今回ご紹介する「DLSSオーバーライド Super Resolution」です。
- 「DLSSオーバーライド」とはいったい何なのか?
- WQHD基準で見る、内部解像度の仕組み
- プリセットA〜L:どのAIモデルを選ぶべきか
- 有効にすべきケースとメリット:カスタムスケーリングの自由
- 有効にしたほうがいいゲーム、しないほうがいいゲーム
「DLSSオーバーライド」とはいったい何なのか?
NVIDIA appを開くと、「グローバル設定」の上から3つ目に「DLSSオーバーライド」という項目があります。
この「DLSSオーバーライドシリーズ」のうち、モデルプリセットとフレーム生成については、なんとなく分かるという方も多いのではないでしょうか。
NVIDIAが「第2世代Transformerモデル」を採用した「DLSS 4.5 Super Resolution」を発表し(CES 2026というテクノロジーの発表会にて)、同時にNVIDIA appのアップデートが行われ、2026年1月15日からDLSSに対応しているゲームの「DLSSバージョン」を引き上げられるようになりました。
その目玉は、フレーム生成がなんと「6倍」まで拡張されることや、「動的フレーム生成」で目標フレームレートに応じてフレーム生成の倍率がリアルタイムで変動するというものでした(こちらは2026年3月31日についに実装済です!)。
さきがけてDLSS 4.5が実装され、僕もいち早く試してみました。
まあ、本記事のテーマである「DLSSオーバーライド Super Resolution」という機能自体はめっちゃ前からあるのですが、あまり触れてこなかった人も多いと思います(笑)。
クリックすると「DLAA」とか「クオリティ」とか出てきて、「それってゲーム内で設定できるじゃん」とか「DLAAって重いだけじゃない?」と思ったりした方も多いはずです。
そこで今回は、
* 「DLSSオーバーライド Super Resolution」とはいったい何なのか
* 有効にするメリット・デメリット
* 有効にしたほうがいいゲーム、かえって悪化するゲーム、まったくいじらない方がいいゲーム
などの疑問を紐解いていきたいと思います。
オーバーライドの正体は「最新AIへの強制アップグレード」
DLSSオーバーライドとは、簡単に言うと「ゲーム開発者がデフォルトで設定したDLSSのバージョンや挙動を無視して、ユーザー側で手動で最新のAIモデル(プリセット)や解像度倍率を上書きできちゃう機能」のことです。
この機能の最大の特徴は、「ランタイム・リダイレクト」という仕組みにあります。通常、ゲームは自身のフォルダ内にある古いDLLファイルを使用してDLSSを動かしますが、オーバーライドを有効にすると、ゲーム起動時にグラフィックドライバ側が保持している最新のライブラリへと処理を転送してくれます。
これにより、開発者の更新が止まっている古いタイトルであっても、常に最新のAIアルゴリズムを適用できるようになるんですね。
僕のメインPCは「Ryzen 7 7700」と「RTX 5070」という最新構成なのですが、実際にこの「上書き」設定を初めて試した時は、NVIDIA appの画面でプルダウンから選ぶだけという導入のしやすさに驚きました。わざわざフォルダのファイルを弄らなくても、「クリックひとつで過去のゲームに最新のアルゴリズムを適用できる」という期待感はすごく大きかったです。

このように、DLSSオーバーライド Super Resolutionのところをクリックして、プルダウンされた項目を選ぶだけで設定完了です。
WQHD基準で見る、内部解像度の仕組み
以下は、DLSSの各設定における元の内部解像度です(僕も使っているWQHDを基準にしています)。
| WQHD(2560×1440)のDLSS内部解像度一覧 | モード | スケール率 | 内部レンダリング解像度 | 総ピクセル数 |
|---|---|---|---|---|
| ネイティブ | 100% | 2560 × 1440 | 約368万 | |
| クオリティ | 66.7% | 1706 × 960 | 約163万 | |
| バランス | 58.0% | 1485 × 835 | 約124万 | |
| パフォーマンス | 50.0% | 1280 × 720 | 約92万 | |
| ウルトラパフォーマンス | 33.3% | 853 × 480 | 約41万 |
DLSSのおかげで忘れがちですが、昔はDLAAのようにそのままの解像度でTAAやMSAAなどのアンチエイリアスをつけて遊んでいましたよね。
DLSSでは、まずあえて低い解像度でゲームを描画したあと、AIの力で2560×1440などの高解像度へアップスケーリングしてくれます。改めて考えると、すごい技術です。
プリセットA〜L:どのAIモデルを選ぶべきか
設定の前に、まずは「DLSSのどのバージョンを選ぶべきか」という選択があります。
設定項目にある「プリセットのアルファベット」は、そのままDLSSのバージョンのことです。
NVIDIAはDLSSを実装してから現在に至るまで、相当な回数アップデートしています。しかしゲーム開発者は、開発時点での最新のDLSSを実装するか、少し前の安定したDLSSを搭載したままリリースすることが多いです。
以下は、プリセットA〜Lまでのアルファベットと、それに準ずるDLSSのバージョンや特徴をまとめたものです。
| プリセット | 登場バージョン | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| A | DLSS 2.x / 3.x | 初期モデル。動きベクトルのない古いタイトル向け。 |
| B | DLSS 2.x / 3.x | ウルトラパフォーマンス・モード向け。 |
| C | DLSS 2.x / 3.x | 速い動きのゲーム向け。ゴーストは少ないが、安定性に欠ける。 |
| D | DLSS 2.x / 3.x | 遅い動きのゲーム向け。安定性は高いが、ゴーストが出やすい。 |
| E | DLSS 3.7 | 現在の標準(高性能)。Dの改良版で、ゴーストが劇的に改善。 |
| F | DLSS 3.7 | ウルトラパフォーマンス / DLAA用。高解像度での安定性重視。 |
| G〜I | - | 未使用、または内部テスト用。 |
| J | DLSS 4.0 | 第1世代Transformerモデル。Kよりシャープだが安定性は低め。 |
| K | DLSS 4.0 | DLSS 4の標準。Jより安定し、従来より大幅に画質が向上。 |
| L | DLSS 4.5 | 最新の第2世代Transformer。4K+などの高解像度に最適化。 |
| M | DLSS 4.5 | 最新の標準。WQHD以下の解像度で最高の画質を提供。 |

NVIDIA appのオーバーライド設定で最も重要なのは、「どのアルゴリズム(プリセット)を適用するか」という点です。現在、主に以下の4つの「Transformerベースのモデル」が主流となっています。
- プリセットK(第1世代Transformer): DLSS 4の標準モデルです。時間的安定性が非常に高く、従来のCNNベースのモデルで発生していたゴースト(残像)を大幅に軽減してくれます。
- プリセットM(第2世代Transformer): DLSS 4.5で導入された最新モデルですね。従来の5倍の計算能力を投じ、ゲームエンジンの生のデータに近い「線形空間(Linear Space)」で推論を行います。これにより、ネオンの反射や霧といった複雑な照明の再現性が劇的に向上しました。主にパフォーマンスモード向けに設計されています。
- プリセットL(第2世代Transformer): 3×3のアップスケーリングに特化した非常に重いモデルです。4K環境での「ウルトラパフォーマンス」など、極端に低い内部解像度から高精細な画像を生成する際に、驚異的なシャープネスを発揮します。
昨今話題に挙がっているDLSS 4.5とは、この「プリセットM」と「プリセットL」のことですね。
RTX 5070で試した圧倒的な画質の違い
実際にRTX 5070環境でプリセットMとプリセットLなどを試した感想ですが、結論から言うとかなり違います。 何が違うかと言うと、一番は「遠景のちらつきの軽減」です。
遠景までDLSSのアンチエイリアスがしっかりと効いているので、カメラを動かした時のチカチカする不快な感じがかなり軽減されました。
さらに、プリセットK(標準)からM(最新)に切り替えた際、複雑な照明の表現が全くの別物になりました。特に水たまりや車のボディに反射するネオンの色味がより鮮やかで自然になり、霧がかったシーンでの光の散乱もすごくリアルに感じられましたよ。
静止画ではほぼ伝わらない部分なので、比較動画でわかりやすいものを貼っておきますね。
https://youtu.be/vtwnoP3u8ec?si=HJuEzjmGC-u7aCkH
有効にすべきケースとメリット:カスタムスケーリングの自由
DLSSオーバーライドを有効にする最大のメリットは、画質の向上と、「ゲーム側の固定設定からの解放」にあります。
- アーティファクト(ノイズ)の除去: 開発者が古いバージョンのDLSSを放置しているゲームでも、最新のモデルを強制適用することで、動くオブジェクトの背後に発生するにじみや、草木がチカチカするフリッカー現象を抑制できます。
- 物理的に正しい照明: 先ほども触れたように、DLSS 4.5のモデル(プリセットM/L)は光の計算をより正確に行うため、色が不自然に沈み込むのを防いでくれます。
- カスタム解像度の設定: これが最も強力なポイントかもしれません。NVIDIA appでは、33%から100%の間で自由なスケーリング比率を設定できます。「クオリティ(67%)」だと重いけれど、「バランス(58%)」だとボケが気になる…といった場合に、その中間の「75%」などを細かく指定できるのは本当に便利です。
有効にしたほうがいいゲーム、しないほうがいいゲーム
DLSSオーバーライド(特に最新のプリセットMやL)は、全てのタイトルで魔法のように画質が向上するわけではありません。レンダリングパイプラインの特性やGPUの世代によって、かなり相性が分かれます。
1. 適用を推奨するタイトル(画質・安定性が向上する例)
開発者が古いDLSSモデルを放置している場合や、最新の第2世代Transformerモデルの恩恵を強く受けるタイトルですね。
- The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered: 標準のプリセットKでは高速移動時に顕著なゴーストが発生しますが、最新のプリセットMやLを適用することで残像が劇的に解消されます。
- Kingdom Come: Deliverance II: 従来のモデルでは草木やテーブルにシマリング(チラつき)が見られましたが、DLSS 4.5(プリセットM)を適用することで、動作中の像がより鮮明かつ安定します。
- Red Dead Redemption 2: 1440p環境などでスケーリングを85%程度にカスタム設定し、最新モデルを強制適用することで、葉のチラつきが解消され、非常にクリーンな画質が得られますよ。
- Assassin's Creed Shadows / Horizon Forbidden West: プリセットMの適用により、ボリュメトリックフォグのノイズや、物体が重なった際に発生するピクセル化(Disocclusionアーティファクト)が大幅に改善されます。
2. 有効にしないほうがいいタイトル(視覚的な劣化が発生する例)
最新モデルを適用することで、かえって影の安定性が損なわれたり、特定の描写にノイズが乗ったりするケースです。
- Monster Hunter Wilds: プリセットMを適用すると、草木の影に耐え難いフリッカー(点滅)が発生するという報告もあり、現状は標準モデルの方が安定しています。
- Control: Ultimate Edition: プリセットMを使用すると、粗い表面での反射が不安定になり、フリッカーやノイズが増大する「退行現象」が確認されています。
- Star Wars Jedi: Survivor / Silent Hill 2: プリセットMを適用した場合、植物の影(アンビエントオクルージョン)や水面の反射にノイズが乗りやすくなる傾向があります。
- Final Fantasy XIV: プリセットKなどを強制適用するとグラフィックに不具合が生じる場合があり、ゲーム側がデフォルトで設定している「プリセットC」のまま動作させるのが無難です。
3. いじらないほうがいいタイトル(競合やリスクがある例)
技術的な制約で設定が無視されるタイトルや、オンライン規約に触れる恐れがあるタイトルです。
- Cyberpunk 2077 / Alan Wake 2: これらのレイリコンストラクション(RR)対応ゲームでRRを有効にしている場合、超解像(SR)のオーバーライド設定はシステム側で完全に無視されます。RR自体がアップスケーリングを統合処理しているため、SRをいじっても変化がないか、無理に適用するとクラッシュの原因になってしまいます。
- 対戦型マルチプレイヤーゲーム(Battlefield 2042 / Hunt: Showdownなど): NVIDIA appを介した公式オーバーライドは比較的安全ですが、DLLファイルを物理的に置き換える外部ツール(DLSS Swapper等)を使用する手法は、アンチチートシステムに検出されてBANされるリスクがあるため絶対に行わないようにしましょう。
- Avatar: Frontiers of Pandora: RRが葉の描写に深刻なゴーストを発生させることがありますが、ゲームの設計上、RRがSRを完全に置き換えているため、ユーザー側の手動設定が効果を発揮しにくい構造になっています。
このように、ゲームによって相性の良し悪しはありますが、バチッとハマった時の「DLSSオーバーライド」の効果は絶大です。
最新のグラボとNVIDIA appの組み合わせで、ぜひ皆さんもPCゲームの画質を一段上のレベルへ引き上げてみてくださいね。
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