
そんなDLSSにまつわる話題なのですが、GeForceのドライバが更新に更新を重ね、「GeForce Experience」から「NVIDIA app」へと移行して随分経ちますね。 GeForce Experienceの方が好きだったという方もいらっしゃるかと思いますが、NVIDIA appになってから機能がいくつか追加されています。
そのうちのひとつが、今回ご紹介する「DLSSオーバーライド Super Resolution」です。
- 「DLSSオーバーライド」とはいったい何なのか?
- オーバーライドの正体は「最新AIへの強制アップグレード」
- 3. 【完全網羅】プリセットA〜M:DLSSバージョンと代表的タイトルの相関
- 有効にすべきケースとメリット:カスタムスケーリングの自由
- 有効にしたほうがいいゲーム、しないほうがいいゲーム
- 4. 【実機検証】RTX 5070で暴く、DLSS 4.5の「真の画質」
- 5. NVIDIA app 11.0.7.247:検証を盤石にする最新の武器
「DLSSオーバーライド」とはいったい何なのか?
NVIDIA appを開くと、「グローバル設定」の上から3つ目に「DLSSオーバーライド」という項目があります。
この「DLSSオーバーライド」シリーズのうち、モデルプリセットとフレーム生成については、なんとなく分かるという方も多いのではないでしょうか。
NVIDIAが「第2世代Transformerモデル」を採用した「DLSS 4.5 Super Resolution」を発表し(CES 2026というテクノロジーの発表会にて)、同時にNVIDIA appのアップデートが行われ、2026年1月15日からDLSSに対応しているゲームの「DLSSバージョン」を引き上げられるようになりました。
その目玉は、フレーム生成がなんと「6倍」まで拡張されることや、「動的フレーム生成」で目標フレームレートに応じてフレーム生成の倍率がリアルタイムで変動するというものでした(こちらは2026年3月31日についに実装済です!)。
さきがけてDLSS 4.5が実装され、僕もいち早く試してみました。
まあ、本記事のテーマである「DLSSオーバーライド Super Resolution」という機能自体はめっちゃ前からあるのですが、あまり触れてこなかった人も多いと思います(笑)。
クリックすると「DLAA」とか「クオリティ」とか出てきて、「それってゲーム内で設定できるじゃん」とか「DLAAって重いだけじゃない?」と思ったりした方も多いはずです。
そこで今回は、
* 「DLSSオーバーライド Super Resolution」とはいったい何なのか
* 有効にするメリット・デメリット
* 有効にしたほうがいいゲーム、かえって悪化するゲーム、まったくいじらない方がいいゲーム
* 『Red Dead Redemption 2』や『Horizon Forbidden West』での実機検証
などのセクションで、Super Resolutionモードの疑問を紐解いていきたいと思います。
オーバーライドの正体は「最新AIへの強制アップグレード」
DLSSオーバーライドとは、簡単に言うと「ゲーム開発者がデフォルトで設定したDLSSのバージョンや挙動を無視して、ユーザー側で手動で最新のAIモデル(プリセット)や解像度倍率を上書きできちゃう機能」のことです。
この機能の最大の特徴は、「ランタイム・リダイレクト」という仕組みにあります。通常、ゲームは自身のフォルダ内にある古いDLLファイルを使用してDLSSを動かしますが、オーバーライドを有効にすると、ゲーム起動時にグラフィックドライバ側が保持している最新のライブラリへと処理を転送してくれます。
これにより、開発者の更新が止まっている古いタイトルであっても、常に最新のAIアルゴリズムを適用できるようになるんですね。
僕のメインPCは「AMD Ryzen 7 7700」と「NVIDIA GeForce RTX 5070」という最新構成なのですが、実際にこの「上書き」設定を初めて試した時は、NVIDIA appの画面でプルダウンから選ぶだけという導入のしやすさに驚きました。わざわざフォルダのファイルを弄らなくても、「クリックひとつで過去のゲームに最新のアルゴリズムを適用できる」という期待感はすごく大きかったです。

このように、DLSSオーバーライド Super Resolutionのところをクリックして、プルダウンされた項目を選ぶだけで設定完了です。
WQHD基準で見る、内部解像度の仕組み
以下は、DLSSの各設定における元の内部解像度です(僕も使っているWQHDを基準にしています)。
| モード | スケール率 | 内部レンダリング解像度 | 総ピクセル数 |
|---|---|---|---|
| ネイティブ | 100% | 2560 × 1440 | 約368万 |
| クオリティ | 66.7% | 1706 × 960 | 約163万 |
| バランス | 58.0% | 1485 × 835 | 約124万 |
| パフォーマンス | 50.0% | 1280 × 720 | 約92万 |
| ウルトラパフォーマンス | 33.3% | 853 × 480 | 約41万 |
DLSSのおかげで忘れがちですが、昔はDLAAのようにそのままの解像度でTAAやMSAAなどのアンチエイリアスをつけて遊んでいましたよね。
DLSSでは、まずあえて低い解像度でゲームを描画したあと、AIの力で2560×1440などの高解像度へアップスケーリングしてくれます。改めて考えると、すごい技術です。
3. 【完全網羅】プリセットA〜M:DLSSバージョンと代表的タイトルの相関
NVIDIA appで選択できるアルファベットのプリセットは、DLSSの世代と特性を示しています。これまではゲームエンジン側に固定されていましたが、現在はユーザーが自由に選択可能です。
| プリセット | 登場バージョン | アーキテクチャ | 特徴と代表的なゲーム |
|---|---|---|---|
| A / B | DLSS 2.x / 3.x | CNN | 初期モデル。動きベクトルの取得が不完全な旧世代タイトル向け。 |
| C | DLSS 2.x / 3.x | CNN | 高速戦闘向け。代表作:『FFXIV』(開発側が意図的に設定)。 |
| D | DLSS 2.x / 3.x | CNN | 安定性重視。代表作:『Escape from Tarkov』(標準プリセット)。 |
| E (Eager Donkey) | DLSS 3.7 | CNN | CNN世代の到達点。ゴーストが劇的に改善。代表作:『Horizon Forbidden West』、『God of War (2018)』。 |
| F | DLSS 3.7 | CNN | Ultra Performance/DLAA用。高解像度での安定性重視。 |
| J / K | DLSS 4.0 | Transformer (1st Gen) | 第1世代Transformer。KはDLSS 4の標準。代表作:『Cyberpunk 2077』。 |
| M / L | DLSS 4.5 | Transformer (2nd Gen) | 最新モデル。MはPerformance、LはUltra Performanceに最適化。 |
- プリセットK(第1世代Transformer): DLSS 4の標準モデルです。時間的安定性が非常に高く、従来のCNNベースのモデルで発生していたゴースト(残像)を大幅に軽減してくれます。
- プリセットM(第2世代Transformer): DLSS 4.5で導入された最新モデルですね。従来の5倍の計算能力を投じ、ゲームエンジンの生のデータに近い「線形空間(Linear Space)」で推論を行います。これにより、ネオンの反射や霧といった複雑な照明の再現性が劇的に向上しました。主にパフォーマンスモード向けに設計されています。
- プリセットL(第2世代Transformer): 3×3のアップスケーリングに特化した非常に重いモデルです。4K環境での「ウルトラパフォーマンス」など、極端に低い内部解像度から高精細な画像を生成する際に、驚異的なシャープネスを発揮します。
昨今話題に挙がっているDLSS 4.5とは、この「プリセットM」と「プリセットL」のことですね。
選択できるなら全部最新プリセットの「M」か「L」でいいんじゃないの?と思うかも知れませんが、プリセットM/Lは万能薬ではなく、不具合が出てしまうケースもあるんです。
特に古いゲームなどはシャープになりすぎてチカチカしてしまったり、ゴーストと言ってカメラを動かした時にオブジェクトが残像のように見えてしまったりする現象が起きてしまったりします。
なので「とりあえずモデルプリセットMでいいだろう!」という考えは少し危険なのです。
僕自身もDLSS 4.5及びプリセットM/Lが発表された時は、インストールしてある全てのゲームに適用してやる!と思っていましたが、後述する「適用すべきではないタイトル」に適用した時に「向き不向きがあるな...」と思いました。
有効にすべきケースとメリット:カスタムスケーリングの自由
DLSSオーバーライドを有効にする最大のメリットは、画質の向上と、「ゲーム側の固定設定からの解放」にあります。
- アーティファクト(ノイズ)の除去: 開発者が古いバージョンのDLSSを放置しているゲームでも、最新のモデルを強制適用することで、動くオブジェクトの背後に発生するにじみや、草木がチカチカするフリッカー現象を抑制できます。
- 物理的に正しい照明: 先ほども触れたように、DLSS 4.5のモデル(プリセットM/L)は光の計算をより正確に行うため、色が不自然に沈み込むのを防いでくれます。
- カスタム解像度の設定: これが最も強力なポイントかもしれません。NVIDIA appでは、33%から100%の間で自由なスケーリング比率を設定できます。「クオリティ(67%)」だと重いけれど、「バランス(58%)」だとボケが気になる…といった場合に、その中間の「75%」などを細かく指定できるのは本当に便利です。

有効にしたほうがいいゲーム、しないほうがいいゲーム
DLSSオーバーライド(特に最新のプリセットMやL)は、全てのタイトルで魔法のように画質が向上するわけではありません。レンダリングパイプラインの特性やGPUの世代によって、かなり相性が分かれます。
1. 適用を推奨するタイトル(画質・安定性が向上する例)
開発者が古いDLSSモデルを放置している場合や、最新の第2世代Transformerモデルの恩恵を強く受けるタイトルですね。
- The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered: 標準のプリセットKでは高速移動時に顕著なゴーストが発生しますが、最新のプリセットMやLを適用することで残像が劇的に解消されます。
- Kingdom Come: Deliverance II: 従来のモデルでは草木やテーブルにシマリング(チラつき)が見られましたが、DLSS 4.5(プリセットM)を適用することで、動作中の像がより鮮明かつ安定します。
- Red Dead Redemption 2: 1440p環境などでスケーリングを85%程度にカスタム設定し、最新モデルを強制適用することで、葉のチラつきが解消され、非常にクリーンな画質が得られますよ。
- Assassin's Creed Shadows / Horizon Forbidden West: プリセットMの適用により、ボリュメトリックフォグのノイズや、物体が重なった際に発生するピクセル化(Disocclusionアーティファクト)が大幅に改善されます。
2. 有効にしないほうがいいタイトル(視覚的な劣化が発生する例)
最新モデルを適用することで、かえって影の安定性が損なわれたり、特定の描写にノイズが乗ったりするケースです。
- Monster Hunter Wilds: プリセットMを適用すると、草木の影に耐え難いフリッカー(点滅)が発生するという報告もあり、現状は標準モデルの方が安定しています。
- Control: Ultimate Edition: プリセットMを使用すると、粗い表面での反射が不安定になり、フリッカーやノイズが増大する「退行現象」が確認されています。
- Star Wars Jedi: Survivor / Silent Hill 2: プリセットMを適用した場合、植物の影(アンビエントオクルージョン)や水面の反射にノイズが乗りやすくなる傾向があります。
- Final Fantasy XIV: プリセットKなどを強制適用するとグラフィックに不具合が生じる場合があり、ゲーム側がデフォルトで設定している「プリセットC」のまま動作させるのが無難です。
3. いじらないほうがいいタイトル(競合やリスクがある例)
技術的な制約で設定が無視されるタイトルや、オンライン規約に触れる恐れがあるタイトルです。
- Cyberpunk 2077 / Alan Wake 2: これらのレイリコンストラクション(RR)対応ゲームでRRを有効にしている場合、超解像(SR)のオーバーライド設定はシステム側で完全に無視されます。RR自体がアップスケーリングを統合処理しているため、SRをいじっても変化がないか、無理に適用するとクラッシュの原因になってしまいます。
- Avatar: Frontiers of Pandora: RRが葉の描写に深刻なゴーストを発生させることがありますが、ゲームの設計上、RRがSRを完全に置き換えているため、ユーザー側の手動設定が効果を発揮しにくい構造になっています。
4. 【実機検証】RTX 5070で暴く、DLSS 4.5の「真の画質」
カタログスペック上の進化ではなく、実際のゲーム画面でどれほどの違いが出るのか。今回は、グラフィック負荷が非常に高く、かつDLSSの恩恵を受けやすい2つのビッグタイトル『Red Dead Redemption 2』と『Horizon Forbidden West』で検証を行いました。特筆すべきは、使用したGPUが最新のRTX 5070である点です。DLSS 4.5(プリセットM/L)は従来の5倍の計算負荷を要しますが、Blackwell世代のFP8加速により、パフォーマンス低下を数%に抑えつつ劇的な画質向上を実現しています。
① Red Dead Redemption 2:公式非対応の「カスタムスケーリング」で化ける
RDR2は公式にはDLSS 2世代の古い実装に留まっており、標準の「クオリティ」設定では、細かな植生に特有のチラつき(シマリング)が残る課題がありました。ここでNVIDIA appのオーバーライドを活用し、内部解像度を「85%」にカスタム設定し、かつプリセットMを強制適用します。これにより、公式の「クオリティ(67%)」よりも圧倒的に精細で、「DLAA(100%)」よりも10〜15%ほど高いフレームレートを維持できる、まさに「いいとこ取り」の画質が手に入ります。
RDR2がもっとも違いがわかったのですが、古いゲームのためかスクショがうまく撮れませんでした。ですが馬の毛並みの滑らかさや建物のシャープネスが明らかに違いました。
唯一撮れたのがこちらのスクリーンショットなのですが、これでも違いを分かっていただけたら幸いです。
デフォルト

プリセットM + DLAA

【比較のポイント】
デフォルトの画質では背景の岩肌や木々にわずかな「もや」がかかったように見えますが、カスタムスケーリング85%+プリセットMを適用した画像では、馬の毛並み一本一本のディテールや奥の建物の輪郭が非常にシャープに描画されています。不自然なチラつきが抑えられ、全体的にクリーンな視界になっています。
② Alan Wake 2:プリセット検証に向いているタイトル
Alan Wake 2はプリセット検証に向いているゲームの一つです。
プリセットオーバーライドと、ゲーム内に搭載されている「レイの再構成」は干渉してしまうことが多いのですが、幸い違いが分かる結果になりました。
とても小さい文字ですが、レジストリを書き換えてDLSSのバージョンが分かるようにしています。
Alan Wake 2はSuper Resolutionのオーバーライドには対応していませんでした。ですので、今回はデフォルトとプリセットMの違いになります。
ネオン街(デフォルト)

ネオン街(プリセットM)

【比較のポイント】
ネオンサインの光の広がり方に注目してください。デフォルトでは光がやや不自然に滲んで(ブルーム)見えますが、プリセットMでは光の計算が正確になり、看板の文字までくっきりと読み取れるほど明瞭になっています。
散らばるゴミ(デフォルト)

散らばるゴミ(プリセットM)

【比較のポイント】
地面の質感や散乱するオブジェクトの接地感に違いが出ています。プリセットMでは細かい影の落ち方が引き締まり、ノイズが減ったことでよりリアルで立体的な描写に進化しています。
木々(デフォルト)

木々(プリセットM)

【比較のポイント】
細い枝や葉っぱの描写において、デフォルトで発生しやすい微細なフリッカー(チラつき)が、プリセットMでは綺麗に抑制されています。遠景の自然物でも輪郭の安定感が大きく向上しているのが分かりますね。
③ Horizon Forbidden West:アーロイの動きに付いてくる「ノイズ」が消える
HFWのような密度の高いオープンワールドでは、キャラクターが激しく動いた際に、隠れていた背景が露出する箇所で「ピクセル化(Disocclusionアーティファクト)」が発生しがちです。従来のプリセットKでも優秀でしたが、最新のプリセットM(第2世代Transformer)へオーバーライドすると、アーロイの輪郭周辺に発生していた微細なノイズがスッと消え、遠景の木の葉が風に揺れる様子もピタッと安定します。
※ Horizon Forbidden Westの詳しい画像検証については、また今度追記しますね!
5. NVIDIA app 11.0.7.247:検証を盤石にする最新の武器
最新のNVIDIA app(v11.0.7.247)へのアップデートは、本機能を使いこなす上で必須と言えます。これまでベータ版だった「動的マルチフレーム生成(DMFG)」が正式実装され、RTX 50シリーズでは最大6倍までの倍率が解放されました。パストレーシングを多用する超高負荷タイトルでも、240Hzモニターの性能をフルに引き出すことが可能になっています。
また、統計情報に「SRモデル・オーバーライド(SR Model OVR)」が追加された点も見逃せません。Alt+Zのオーバーレイから、ゲームを再起動することなく「今、本当にプリセットMが動いているか」をリアルタイムで監視できるようになりました。
実際に私も「SR Model OVR」をオンにしてプレイしてみましたが、設定が確実に反映されていることをゲーム画面で一目で確認できる安心感は素晴らしいですね。レジストリをいじってHUDを出すのは、初心者の方にとっては少し怖い作業だと思いますが、NVIDIA app内の機能だけで完結するのは本当に便利で画期的だと感じました!
このように、ゲームによって相性の良し悪しはありますが、バチッとハマった時の「DLSSオーバーライド」の効果は絶大です。
最新のグラボとNVIDIA appの組み合わせで、ぜひ皆さんもPCゲームの画質を一段上のレベルへ引き上げてみてくださいね。
この記事を読んだ方には、こちらの「NVIDIA App最適化ガイド」もよく読まれています。併せて設定を見直すことで、さらに5〜10FPSの向上が見込めますよ。
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