

僕は全然知らなくて、「とりあえずオンにしとけば画質上がるやろ!」となんとなくオンにしてました。
そんな【レイ再構成】ですが、徹底的に調べてきた技術解説と、『Cyberpunk 2077』と『Alan Wake 2』で【レイ再構成】をオンオフにした場合の画質検証を行っていきたいと思います。
前提として、【レイ再構成】は「【レイトレーシング】」が前提になっています。
DLSS 3.5【レイ再構成】とは? 職人芸のデノイズをAIが支配する日
これまで、【レイトレーシング】の美しさとパフォーマンスの両立は、グラフィックスエンジニアによる「手動デノイザー」の調整という、気の遠くなるような職人芸に支えられてきました。
【レイトレーシング】は本来、1ピクセルあたり数万の光線を計算する必要がありますが、リアルタイム環境では1〜2本程度しか飛ばせません。その結果生まれるスカスカのノイズを、デノイザーが過去のフレーム情報を「指でこすり合わせるように」合成して埋めていたのです。
しかし、この手法ではディテールが犠牲になり、ゴースト(残像)やチラつきが発生していました。
NVIDIAの【レイ再構成】は、この複数のデノイザーを単一の巨大なAIネットワークに統合。
AIが「そこにあるべき正しい光の形」を推論して描き出すことで、水面の文字の反射や複雑な光の回り込みを、ネイティブ描画をも凌駕する鮮明さで再現します。
この技術は『DLSS 3.5』で同時実装された機能なのですが、その頃は【GeForce RTX 40シリーズ】がイケイケの時代だったので、『DLSS 3』のフレーム生成のように【RTX 40シリーズ】限定の機能かと思いきや、【RTX 30シリーズ】や【RTX 20シリーズ】も使える機能として実装されました。
その時は確か【RTX 3070 Ti】とかを使っていたと思うので嬉しかったです。
『Cyberpunk 2077』vs『Alan Wake 2』― 実装の違いで見えるAIの限界
みなさんもまだ記憶に新しいと思いますが、『Cyberpunk 2077』は正直言って酷い状態でリリースされましたよね...。
【PlayStation 4】ではクラッシュが多発してプレイすることもままならず異例の返金騒動が起こったり、PCでも「【E3】(発表時)のグラフィックスと全然違う!」と怒りの声も聞こえてきました。
僕は普通に楽しめたのですが、やはり大多数の人からの反発を受けて何回ものアップデートが行われて、見違えるほどグラフィックスが良くなりました。
今では「ベンチマークソフト」と呼ばれるぐらい、最新の技術を紹介するためのゲーム筆頭になるまで進化しましたね。
僕はリリース当初の『Cyberpunk 2077』を知っているので分かるのですが、「今とはエンジンごと違うんじゃないか」ってぐらいのっぺりとしていました。
なので、もともと【レイ再構成】のような高度なグラフィックスを実装することを想定していなかったのだと思います。
【レイ再構成】の効果は、ゲームエンジンの設計思想によって明暗が分かれます。
『Cyberpunk 2077』を動かす「REDengine」は、ラスタライズベースの設計にパストレーシングを後付けした「レトロフィット型」です。ナイトシティの無数のダイナミックな光源はAIにとっても過酷で、内部解像度が低い環境では、AIがノイズとテクスチャを誤認し、NPCの肌がワックス人形のように滑らかになりすぎる「油絵現象(Oily Look)」が報告されています。
一方、『Alan Wake 2』の「Northlight Engine」はモダンな設計で、メッシュシェーダーによる精密な幾何学情報の整理を行っています。
AIに渡されるデータが整理されているため、深い森の暗闇やフラッシュライトの干渉においても、アーティファクトが極めて少ない、圧倒的に安定した「映画的ライティング」を実現しています。
『Alan Wake 2』の美しさには本当に圧倒されましたね。
『Epic Gamesストア』専売なのが本当にもったいない。ぜひ『Steam』で出してもっとたくさんの人にプレイしてもらうべきゲームです。
多分『Steam』版はもう来ないのでしょう...。
まずは『Cyberpunk 2077』。「油絵現象」という報告があるため、あえて人物を入れたスクリーンショットもとってきました。
画像を上下に並べていますので、ぜひ見比べてみてください。
【レイ再構成】をオンにすることで、水溜まりに反射するネオンサインや建物のディテールが圧倒的にシャープになります。従来の手動デノイザーでは細部がぼやけて「滲んだ」ようになっていましたが、AIの推論によりクリアな反射像が構築されています。
▼ レイ再構成:あり 
▼ レイ再構成:なし 
ジョニーの顔や肌の質感に注目すると、「油絵現象」と呼ばれる特有の質感が現れているのが分かります。細かい肌のテクスチャや無精髭のディテールが、AIの補完処理によって少し滑らかになりすぎているケースです。
▼ レイ再構成:あり 
▼ レイ再構成:なし 
部屋の隅の暗がりや、窓から差し込む間接光の安定感に明確な違いが出ます。オフでは陰影の境界にノイズやチラつきが発生しやすいですが、オンにすることで空間全体の光の回り込みが自然になり、壁に落ちる影も柔らかくなります。
▼ レイ再構成:あり 
▼ レイ再構成:なし 
『Alan Wake 2』での画質検証
続いて、元から【レイ再構成】を前提としたモダンな設計である『Alan Wake 2』の画質検証です。こちらも同じく比較画像を用意しました。
鬱蒼とした森の中では、懐中電灯が照らす霧の表現やシダ植物の陰影に明確な差が出ます。【レイ再構成】をオンにすることでノイズやチラつきが抑えられ、光の束が空間を自然に通り抜けるような、まさに「映画的ライティング」が実現されています。
▼ レイ再構成:あり(森) 
▼ レイ再構成:なし(森) 
ネオンサインや街灯など、複数の光源が交差するシーンです。オフでは手動デノイザーの限界でディテールがぼやけがちですが、オンにすることで水溜まりに映る光の輪郭や、路面の凹凸が驚くほど鮮明に描画され、空気感まで伝わってきます。
▼ レイ再構成:あり(ネオン) 
▼ レイ再構成:なし(ネオン) 
静止画では伝わりにくいですし、ましてやブログで圧縮がかかっているので本当に微細な違いだと思うのですが、やはり【レイ再構成】を前提として設計されているゲームだけあってか、画質の違いは歴然でした。 そして何より驚いたのが、次にお話しするパフォーマンス面での怪現象です。
『Alan Wake 2』の怪現象 ― なぜ設定を「下げる」と重くなるのか?
『Alan Wake 2』の検証は、グラフィックス設定を出来る限り最高設定にし、【レイ再構成】のチェックをオンにするかオフにするかで行いました。
▼ 『Alan Wake 2』設定画面 
ここで、『Cyberpunk 2077』とは対照的な現象が起きました。【レイ再構成】をオフにした瞬間、FPS(フレームレート)がありえないほど落ちたのです。もちろん、画質も悪化してプレイできたもんじゃありません。
『Alan Wake 2』で【レイ再構成】を「オフ」にした際、これまでグレーアウトしていたパスレイトレーシングの詳細項目(直接光や間接光のデノイズ設定など)が突如として現れ、同時にフレームレートが大きく落ち込む現象に疑問を持った方もいると思います。
通常、高度なAI機能をオフにすれば負荷は下がるはずですが、ここには「ニューラルレンダリング」の巧妙な仕組みが隠されています。
【レイ再構成】が有効な状態では、AIが反射や影といった複数の光学的要素を「単一のプロセス」で統合して処理しています。しかし、これをオフにすると、ゲームエンジンは「各エフェクトごとに個別の手動デノイザーを走らせる」という従来の非効率なパイプラインにフォールバック(後退)します。
これら複数の「手動調整デノイザー」はそれぞれが独立してGPUリソースを消費し、過去フレームの情報を保持するための「履歴バッファ」を個別に要求するため、結果としてGPU(CUDAコア)への計算負荷が増大し、VRAM使用量も増加します。
つまり、【レイ再構成】をオフにすることは、 「効率的なAIの統合処理」を捨てて、「重くて古い複数の職人芸(アルゴリズム)」を同時に起動させること を意味するのです。
なぜ「画質が上がるのにパフォーマンスも向上する」のか? VRAM削減の謎
一般的にPCゲームって「設定を上げれば重くなる」のが常識ですよね?
僕もずっとそう思ってました。でも、この【レイ再構成】には「GPUリソースの効率化」という、ちょっと信じられないような裏技的メリットがあり、『Alan Wake 2』ではこれが顕著に出ました。出すぎていたぐらいです。
どういうことかというと、従来のノイズ除去(デノイザー)は、ノイズを消すために過去のフレーム情報を大量に保持する必要があり、これがビデオメモリ(【VRAM】)をガッツリ圧迫する一因でした。
しかし、【レイ再構成】はこれらをAIモデル一つに全部お任せ(集約)しちゃいます。そのおかげで履歴バッファを解放できて、【4K解像度】環境などでは【VRAM】使用量が数百MBから、場合によっては【1GB】弱も減少するケースが観測されているんです!
グラフィックボードの【VRAM】容量に泣かされてきたゲーマーとしては、これめちゃくちゃデカいですよね。
さらにそれだけじゃありません。
今までのデノイズ計算は汎用演算用の【CUDAコア】を使っていましたが、【レイ再構成】はその処理をAI専用回路である「【Tensorコア】」に完全に丸投げ(オフロード)させます。
これにより、解放された【CUDAコア】が純粋なグラフィックス描画に専念できるようになり、結果としてフレームレートが数パーセント向上するという「画質アップと軽量化が同時に成り立つ」魔法のような現象が起きているわけです!
画質も上がって、【VRAM】も節約できて、おまけにフレームレートも上がる。
AIの力って本当に恐ろしいですね……。今後はグラフィックボードの「力技」ではなく、こうした賢い処理が主流になっていくんだなと強く感じます。
総評:ライティングの概念を覆すAIレンダリング
2つの検証結果から分かるように、【レイ再構成】はレイトレーシングをさらに洗練させる素晴らしい技術であるとともに、AIの力によって軽量化も図れるという一石二鳥のシステムです。
現在はエンジンの設計によって『Cyberpunk 2077』のような「油絵現象」が起きるケースもありますが、計算機が力技でピクセルを描く時代から、AIが「空間の文脈を理解して光を再構築する時代」へと確実にシフトしています。今までのライティングの概念を覆すこの技術、もっと色々なゲームで見てみたいですね!
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